ルモーリン
調査の技法

よく行く本屋さんの平積みにこんな本があって購入しました。      環境問題はなぜウソがまかり通るのか      著:武田邦彦、発行:洋泉社、ISBN978-4-86248-122-1、定価:952円+税 環境問題は裸の王様(=頭が良いと思われたい人が裸の王様を指し「服が見える」と言う)なので>NIL: あ「>NIL:」は正しくは「>NIL:」でAmigaDOSでは邪魔なメッセージを破棄します。 リダイレクトの記号を全角にしているのはパソコン通信のオートパイロットのマクロがBBSのプロンプト「>」と 間違えて動作するのを予防するためです。 Linuxでは「>/dev/null」です。 興味があるのはウソの付き方、見破り方のほうだったんだけど本読んでもよくわからないや。 この本を読んだ電波利権の著者、池田信夫さんのページに突っ込みが掲載されているのでどうぞ。 http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo
2006年くらいから池上彰さん(=プロのジャーナリスト)の本とか読んで40歳にもなってようやく気が付きました。 博士先生方の調査は主張の裏付けが目的なのだと。 池上さんの場合は通説を検証するために調査した旨が明記されているのが流石です。 何がマズいのかというと物事の判定、例えば「成功/失敗」とか2者のどちらかに軍配を上げるといった作業前に、 調査方法を含めた判定方法を規定してないので自分の主張に適合する調査結果が出るまで作業を続けてしまう点にあります。 もしかして研究努力と勘違いされてるのかな? ウチのページに幼稚な判定方法を規定してみた例「利きMIDI」があるので 比較していただけると良いでしょう。 行ったことないんで推測だけど大学という所には卒業論文とかいうのがあって自分の主張に適合する調査結果をひたすら求めて 出てきた所で調査を打ち切って結論の手前に調査結果を挿入して論文を完成させるんでしょ(笑)。 そんな軍配の上げ方では行司さんが切腹しまくりですよ。 ソフトウエアのテスト(うまく動作するかなー?どーかなー?)を行なう際も 第一に「どういう操作をさせた場合」第二に「こうなるはず」を規定してから 実際に動作させて結果を記録して既定内容と比較し不一致があれば (これが「何故?」というくらいよくある)「うぇーんバグ入れてるよー。」と結論が出ます。 調査の技法は次の通り。
  1. 調査方法を規定
  2. 判定方法を規定
  3. 規定した調査方法を実施し調査結果を得る
  4. 規定した判定方法に従い判定結果を得る
  5. 判定結果から結論を得る
この技法の肝は3.と4.を実施できなかったら1.からやり直すトコにあります。 都合のよいように改変して作業を続行すると博士先生方と一緒になっちゃうんで注意してくださいね。 さて上の書籍にあったペットボトルのリサイクルについて調査の技法を使ってみましょう。 1.調査方法を規定 家に転がっているペットボトルを集めてラベルに「ペットボドルの原料に7割以上再生品を使用している」旨の記載があるか読む。 記載があるペットボトルを再生ボトルと定義する。 2.判定方法を規定 集めたペットボトルの本数と再生ボトルの本数の比率が7割以上あればペットボトルはリサイクルされていると判定する。 ※「7割」の根拠は再生品の含有率7割×本数比7割≒5割(=とりあえず半分)から由来しています。 当初「5割」にしたら5割×5割<3割になっちゃってそれでも判定結果が「リサイクルされている」じゃ話になんない事に 気がついたんです。 この辺りを調査前にじっくりと検討しておくものなんです。 「この判定基準でいいの?」ってね。 例えば再生品含有率が各社バラバラなら(←ここ笑うトコ) 全ペットボトル重量と含有再生品重量の比率が5割以上でリサイクルされていると判定するとよいけれど 計量器がないんで記載を利用しています。 3.規定した調査方法を実施し調査結果を得る 調査結果をどうぞ。
家に転がっているペットボトル
項番販売者名前内容量再生ボトル
1アサヒ飲料株式会社バヤリース ホテルブレックファースト 1001,500ml×
2株式会社ニチレイフーズアセロラドリンク280ml×
3株式会社ニチレイフーズアセロラドリンク280ml×
4味の素ゼネラルフーヅ(株)ブレンディ コーヒーオリゴ糖入り ボトルコーヒー750ml×
5株式会社セイコーマート SJPAジャスミン茶2,000ml×
6サッポロ飲料株式会社リボン爽快オレンジ1500ml×
7(製造者)株式会社ポッカコーポレーションキレートレモンデイケア900ml×
8株式会社ニチレイフーズアセロラドリンク900ml×
9アサヒ飲料株式会社バヤリース ホテルブレックファースト 1001,500ml×
4.規定した判定方法に従い判定結果を得る 全ペットボトル9本のうち再生ボトルは0本でしたから比率は0割で、 7割以上ではありませんでしたからペットボトルはリサイクルされていません。 5.判定結果から結論を得る ペットボトルはリサイクルされていません。 さて、この内容の落とし穴がわかるかな?わかんねだろうなあ。